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研究報告:どんな要因が減圧症のリスクになるのか?

株式会社オルトメディコでは、2008年より東京医科歯科大学附属病院高気圧治療部との共同研究課題として、レジャーダイバーを対象とした減圧症の発症要因を探る研究を進めています。 減圧症は、潜水中の高圧下で血液や体組織に溶け込んだ不活性ガス(窒素)が浮上による外圧の変化で気泡化することにより、関節痛や神経障害など、多様な症状を呈する症候群です。減圧症にかかった場合、できるだけ早く高気圧酸素治療を行うことが必須ですが、多くのレジャーダイビングスポットが専門的な治療を行える病院から遠くかつ診断も難しいため、対処が遅れることも多く、重症度によっては後遺症を残したり、最悪の場合には死に至ることもあります。 したがってダイバーの皆さんにとっては、減圧症にかかってしまった場合の対処もさることながら、いかにして減圧症のリスクを減らすセルフチェックをしていくかが大切であるといえます。 では減圧症のリスクを高める要因としてはどんなことがあるのか?これを明らかにすることがこの研究の課題です。ここでは、現段階でわかってきたことを中心に、紹介したいと思います。

減圧症の発症と特に関連が深いと考えられる要因

以下の表は、伊豆地域でダイビングをし、減圧症にかかったダイバーとかからなかったダイバーのアンケートを比較することで、どんな要因が減圧症のリスクになるのかをまとめたものです。
「オッズ比」が1より大きい程、減圧症のリスクに寄与していることになります。

要因 オッズ比
ダイビング中、息切れするくらい泳いだ 12.1
下痢または嘔吐などがあり、脱水ぎみだった 10.6
水深30m以上に潜水した 7.2
ダイビング中、潜降・浮上を繰り返した 5.8
浮上中、ダイブコンピュータのスピード超過警告アラームが鳴った 4.5
ダイブコンピューターに減圧停止の指示が出た 3.5
一日3本以上潜ったか 3.4

※オッズ比3以上のものを挙げた

ダイビング中に息切れするほど激しく泳ぐ

安全停止中の適度な運動は減圧症予防に良いといわれていますが、息が切れるほどの激しい運動は体内への窒素の蓄積を亢進するため、逆に減圧症リスクが高くなると考えられます。男女別にみると、特に女性において、ダイビング中に息切れしたケースが目立ちました。

脱水状態でダイビングを行う

脱水は血液の粘性を高めるため、窒素の気泡が残りやすくなり、減圧症発症のリスクを高め、かつ症状が重くなりやすいといわれています(Fahlman & Dromsky 2006)。我々の結果でも潜水前に脱水状態を自覚していた人の減圧症のリスクは高く(オッズ比 10.6)、逆に潜水前に水分をしっかり摂るようにする(コップ2杯以上)と、減圧症のリスクがやや下がるという結果が出ています(オッズ比 0.48、オッズ比が1より低いと、逆に減圧症のリスクを下げる要因と考えられます)。

無減圧限界を超えるようなダイビングを行う

言うまでもなく、深く長く潜れば潜るほど、体内への窒素の蓄積は多くなります。それを裏付けるかのように、最大深度で30mより深く潜った人は、そうでない人に比べてやや減圧症のリスクが高い、という結果となりました(オッズ比 7.2)。潜行浮上を繰り返すことも危険と考えられます(オッズ比5.8)。また1日3本以上潜ることがあった人の減圧症発症のリスクは、そうでない人に比べて高いという結果となりました(オッズ比 3.4)。潜水と潜水との間には、十分な窒素が抜けるよう休息時間を長くとる必要がありますが、一日の潜水本数が多くなるとどうしても間の休息時間が短くなりがちです。逆に、水面休息時間が1.5時間を下回ることがなかった人の減圧症リスクは、低いという結果となりました(オッズ比 0.64)。

浮上中、ダイビングコンピュータのスピード超過アラームが鳴った

水中での浮上スピードが速いと、圧外傷やAGE(動脈ガス塞栓)などの危険も高くなりますが、体内に溜まった窒素が体外に排出されることなく組織や血管の内部で気泡化するため、減圧症のリスクも高くなります。フランスの研究チームが、浮上スピードを様々変えて、浮上後のダイバーの血中気泡を測定するという実験的研究を行い、このことを確かめています(Carturan et al. 2002)。浮上スピードがどの値でアラームが鳴るかは、ダイコンによっても多少異なりますが、我々の結果でも、アラームが鳴るような潜水をすると減圧症のリスクは高い、という結果が得られました。

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