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2025.05.13
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臨床試験に関わったことがある方なら、「Intention-to-Treat (ITT)」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。ですが、その正確な意味や背景まで理解している人は意外と少ないかもしれません。
そこで、今回は、ITT解析についてまとめました。
ICH E9 (臨床試験のための統計的原則) では、ITTの原則について以下のように紹介されています。
治療に用いる治療方針により得られる効果は、実際に受けた試験治療ではなく、被験者を治療しようとする意図 (予定した試験治療規定) に基づくことにより最もよく評価できる、ということを主張する原則。この原則から、一つの試験治療グループに割付けられた被験者は、予定した試験治療のコースを遵守したかどうかにかかわらず、割付けられたグループのまま追跡され、評価され、解析されるべきであることが導かれる。
つまり、ランダム化された対象者を、実際に受けた介入の種類に関係なく、最初の割り付け通りに解析するという考え方です。これにより、以下の利点があります。
ランダム化の恩恵を維持: | 割り付け時点でバランスが取れている交絡因子を維持できる。 |
現実世界での有効性の評価 (Effectiveness): | 現実世界では消費者が介入を中断したり、変更したりすることが多いため、ITTは現実の状況をより忠実に反映できる。 |
バイアスの排除: | 途中脱落や介入変更を解析から除外すると、観察バイアスが生じる可能性がある。 |
ITTはICH E9で、定義されているもの、研究者によって考え方が異なる場合があります。
よく使用される名称 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Strict ITT: |
|
||||||
Modified ITT (mITT): |
|
ITTの原則を完全に適用するには、いくつかの課題があります。
その1つとしてデータ欠測への対応です。
例えば、以下の仮想データではSubject No. 3がVisit 3で欠測しています。
この症例を除外して解析してしまっている方も多いのではないでしょうか?
ITT解析を行うには、この症例は解析に含める必要があります。
よって、どのように欠測へ対応するかが重要です。
Group | Subject No. | Visit 1 | Visit 2 | Visit 3 |
---|---|---|---|---|
A | 1 | 0.6 | 0.1 | 0.8 |
A | 2 | 0.4 | 1.0 | 0.3 |
A | 3 | 0.9 | 0.4 | |
B | 4 | 0.7 | 0.1 | 0.9 |
B | 5 | 0.8 | 0.8 | 0.6 |
ITTは、脱落者を含めて解析するため、データ欠測をどのように取り扱うかを事前に決めておく必要があります。
欠測を補完するのか?欠測を補完せずに解析するのか?など適切な統計手法を準備しましょう。
今回は、ITTに関する内容をご紹介しました。
ITT解析を行う際には、欠測値への対応を含め、適切な統計手法の選定と準備が欠かせません。
オルトメディコでは、こうした欠測データの処理も含めて、
臨床試験における解析業務全体をしっかりとサポートしております。
ITT解析の運用に関してお困りの点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
● | 厚生省. ICH E9 臨床試験のための統計的原則 (平成10年11月30日付医薬審第1047号) (2025年4月18日アクセス可能: https://www.pmda.go.jp/files/000156112.pdf) |
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