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コラム

ヒト臨床試験のやり方、徹底解説

目次

1.ヒト臨床試験とは

ヒト臨床試験とは、試験参加者に介入 (食品の場合は摂取してもらう) を行い、その結果を検証、分析する試験のことです。今回は、実際にヒト臨床試験の流れに加えて、そのメリットや活用例について解説していこうと思います。

2.ヒト臨床試験の流れ1

はじめに、ヒト臨床試験の流れについて解説します。流れとしては「プロトコル (試験計画書) の作成」から始まり、「倫理審査委員会での審議」、「モニター (被験者) 募集」、「試験実施」、「結果解析」、「報告書・論文の作成」で進めていきます。

2.1.プロトコル (試験計画書) の作成

ヒト臨床試験で最初に行うことはプロトコルの作成です。試験計画書とは、今回行うヒト臨床試験の全体計画を記載したもので、このプロトコルに沿って試験を行っていきます。そのため、募集の方法、スケジュール、調査方法、調査期間、解析方法など必要事項を全て記載する必要があります。

2.2.倫理審査委員会での審議

プロトコルを作成したら、倫理審査委員会で審議していただきます。厚生労働省が公開している「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」には、
倫理審査委員会とは、

「研究の実施又は継続の適否その他研究に関し必要な事項について、倫理的及び科学的な観点から調査審議するために設置された合議制の機関をいう。」

と記載されています。
つまり、作成したプロトコルに従って、試験を実施して良いかを、様々な観点から判断する委員会です。
ヒト臨床試験は、倫理的に実施しなければなりません。そのため、医学・医療の専門家、倫理学・法律学の専門家、一般の立場の方といった様々な立場の方が所属している倫理審査委員会で倫理的、科学的に問題ないか審議してもらうことがとても重要になります。

2.3.モニター募集

倫理審査委員会で承認いただいたら、ヒト臨床試験が開始になります。ヒト臨床試験ではじめに行うのは「モニター (被験者) 募集」になります。プロトコルに記載した条件に当てはまる方を集める業務です。安全性を検証する試験の場合は介入する食品を摂取する対象としている健常者、血糖値上昇抑制の試験の場合は、疾病に罹患していない血糖値が高めの者、と言うように、試験に合ったモニターを募集することがとても重要になります。募集する対象が明確になっていないと試験結果に影響が出てしまうこともありますので、モニター募集はとても重要になってきます。

2.4.試験実施

モニター募集完了後、実際に試験品を摂取してもらい、検査を行います。ここでは、「試験食品を規定日数摂取してもらえるか、規定検査に来てもらえるか」が重要になります。試験食品を規定日数摂取していないと、試験食品の効果の検証が難しくなってしまいます。また試験食品を規定日数摂取していたとしても、規定の検査に来ていただけなければ、検査ができず、試験食品の効果を見ることが出来ないため、検査に来ていただかなければなりません。そのため、モニター募集終了後から最終検査終了まで、この段階ではモニターの管理が重要になります。

2.5.結果解析

規定の検査がすべて終了後、検査で得られた結果を統計解析します。プロトコルで計画した解析方法を用いて、必要な情報を集計、解析します。集計、解析方法はとても多く存在します。加えて、「その試験で取得したデータをどのように取り扱うのか」といった目的を試験計画段階で具体的にしておくことが重要になります。これは、良い結果を得るために都合の良い欠損値の補填方法や集計を行い研究の質の低下を防ぐ目的があります。そのため、計画段階から慎重に検討する事が求められます。

2.6.報告書・論文の作成

解析業務が終了後、その解析結果をもとに報告書および論文を作成していきます。結果の記述からその結果から見いだせる点をまとめていきます。また、機能性表示の届出やプロモーションのために、論文等を作成します。

3.ヒト臨床試験の結果を用いたメリット1, 2

本節では、ヒト臨床試験を行うメリットについて記載いたします。

3.1.有効性・安全性を検証できる

一番のメリットは試験食品の有効性・安全性を検証することが出来る点です。長年、人体については研究されてきていますが、まだまだ分からないことが多いのが現状です。そのため、動物実験や細胞実験で良い結果が出たとしても、ヒトが摂取したときに良い結果が出るとは限りません。人体の相互作用の影響で良くない効果が出るかもしれません。そのため、ヒトに摂取してもらい効果を検証することが重要で、ヒト臨床試験で良い結果が出れば、有効性・安全性を謳いやすくなります。
注意点として、試験のやり方や人数によって、試験結果の信憑性は変わってきますので、プロトコルを作成する段階で、慎重に検討する必要があります。

3.2.発売する前に有害事象を確認できる

事前に有害事象を確認できるといったメリットもあります。例えば、エキス等を錠剤などに形成する際、機能性の関与成分ではなく、形成時に使用する成分が混入することによって、人体に悪影響がある場合が存在します。これは、実際に製造する段階ではわかりにくく、人が食べてみて発覚することが多いです。こういったことを、販売前に検証できる点もヒト臨床試験を行うメリットです。

4.ヒト臨床試験を用いたマーケティングの活用例1, 2

この節では実際にヒト臨床試験の結果をどのように活用するかを紹介します。

4.1.機能性表示食品資料利用

機能性表示の資料利用というのは、国が定めたルールに従って食品の科学的根拠を消費者庁長官に届け出れば、その食品の機能性を表示できるといった制度です。つまり、「健康の維持・増進」の範囲内の効果で、科学的根拠を届け出れば、機能性をパッケージに記載できる、ということです。このパッケージに記載できるということは、とても大きく、他の似たような商品と差別化でき販売促進が見込みやすくなります。

4.2.原料などの有効性・安全性の担保

商品だけでなく、食品素材でも活用できます。食品素材を企業に販売する際に、実際に有効性・安全性をヒト臨床試験で検証している食品素材の方が、付加価値が高くなります。

5.オルトメディコのヒト臨床試験事業

弊社、株式会社オルトメディコは、創業以来、ヒト臨床試験の受託をメインで行ってまいりました。試験計画書の作成から、倫理審査委員会の審査サポート、モニター募集から糖尾計解析までの臨床試験サポート、報告書作成まで、トータルでサポートいたします。また統計解析のみ、モニター募集のみといった部分受託や、ヒト臨床試験実施後に行う機能性表示食品の届出サポートも行っております。食品の臨床試験で何か疑問点や不明点などございましたら、お気軽にご連絡ください。

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6.脚注

ヒト臨床試験 (ヒト試験)
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