本格的な夏の訪れを感じる季節となりました。8月も中旬に入り、日差しの強い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
この時期は、暑さによる疲労や食欲低下など、体調を崩しやすい季節でもあります。こまめな水分補給や十分な休息を心がけ、どうぞご自愛ください。
さて、第13回目となる本クイズは、臨床試験報告に関する統合基準であるCONSORT 2010の更新版、CONSORT 2025の解説論文
『馬場亜沙美ら. CONSORT 2025 explanation and elaboration: updated guideline for reporting randomised trialsの和訳 (2). New Food Industry、 2025、 67(8): 447-470』の、臨床試験報告における透明性を高めるために新規追加された項目「Item 10」から出題いたします。
【第13回】論文関連クイズ
- Question
Q1: CONSORT声明(Item 10)において、試験開始後に臨床試験のプロトコル(試験実施計画書)に変更が加えられた場合、論文著者に対してどのような対応が求められていますか?
- A. 試験の信頼性を保つため、プロトコル変更の事実は記載せず、当初の計画通りに完了したとして報告する
- B. 統計的有意性が得られなかった場合に限り、解析方法の変更とその理由を報告する
- C. 事前に計画された変更か計画外の変更かにかかわらず、変更の性質、発生時期、および理由をすべて報告する
- D. 盲検化解除後に行われた変更のみを報告対象とし、盲検下での変更は報告を省略する
Q2: 臨床試験中に「主要アウトカム」や「サンプルサイズ」を変更する正当な理由として、本解説の記載例で挙げられている状況はどれですか?
- A. 主要アウトカムのデータ収集に費用がかかりすぎたため、より安価な副次的アウトカムに切り替える
- B. イベント発生率(死亡率など)や募集率が予測より低く、当初計画されたサンプルサイズと検出力では試験を完了できないとデータモニタリング委員会から指摘されたため
- C. 解析結果のp値が0.05を下回らなかったため、統計的有意差が出るまでサンプルサイズを逐次追加する
- D. 治験責任医師が、自身の仮説に合致するようアウトカムの評価方法を事後的に変更する
Q3: 臨床試験の報告に関する過去の経験的研究(102件のランダム化試験などの調査)において、主要アウトカムの報告についてどのような問題点が指摘されていますか?
- A. 約62%の試験報告書で、事前に登録された試験実施計画書と比較して、主要アウトカムの変更、導入、または省略が少なくとも1つ見られた
- B. ほぼすべての試験において、プロトコルの変更内容と変更理由が完全に透明性を持って説明されていた
- C. Canadian Institutes of Health Researchなどの公的助成を受けた試験では、アウトカムの不一致は全く見られなかった
- D. 非盲検化データに基づいてエンドポイントが事後的に変更された試験は1件も存在しなかった
- Answer
Q1: 正答: C
解説:
試験中に起こりうる状況の変化をすべて予測することは不可能なため、外部情報や募集率の低下などによりプロトコルから逸脱することは起こり得ます。CONSORT声明では、適応試験デザインのような「事前に計画された変更」であっても「計画外の変更」であっても、バイアスのリスクを読者が評価できるように、変更の性質・時期・理由をすべて透明性をもって報告することが不可欠とされています。Q2: 正答: B
解説:
本文の記載例にあるように、「全死因死亡率が予測よりも低く、当初のサンプルサイズでは試験を完了できない」というデータ・安全性モニタリング委員会からの指摘や、「臨床的に重要な最小差に関する新たな証拠(エビデンス)」が得られたことなどは、アウトカムやサンプルサイズを変更・修正する正当な理由となり得ます。一方で、有意差を出すための意図的な操作(p-hacking)は厳格に禁じられています。Q3: 正答: A
解説:
過去の調査によると、プロトコル(試験実施計画書)と最終的な出版物との間で、主要アウトカムが異なっている(変更、追加、省略されている)ケースが約62%にも上ることが明らかになっています。さらに深刻な問題として、多くの試験報告書でその変更の事実や理由が全く説明されておらず、選択的アウトカム報告のバイアスリスクが懸念されています。
今後もこの【論文関連クイズ】では、弊社執筆論文の要点をクイズ形式でお届けいたします。
次回もぜひお楽しみに!












